化学専攻の学生なら、必ず聞いたことがあるであろう「危険物取扱責任者」の資格。
この資格について、
「危険物取扱責任者は学生のうちにとっておいた方がいい
って先輩から聞いたけど、本当?」
「何のための資格?会社で資格は使うの?」
といった疑問がある方も多いのではないでしょうか。
これらの疑問に対して、先に結論から言うと、
化学メーカー等で働くのであれば、在学中にとっておくのが良いでしょう。
この記事では、「化学専攻の学生に向けた甲種危険物取扱者の試験の特徴や、学生で取っておくべき理由」についてご紹介します。
大学在学中に乙4種、入社後に甲種を一発合格した筆者が、
「危険物取扱者の資格は会社で必要か?」
経験談も含めて分かりやすく解説しているので、受験の参考になれば幸いです。
えんどうまめ
化学メーカーの開発職として働いています。
普段から資格で得た知識を使って仕事をしています!
そもそも危険物取扱者ってどんな資格?
危険物取扱責任者は国家資格です。
甲種、乙種、丙種の3種類がありますが、甲種が最も上位の資格です。
甲種危険物取扱者の資格を持っていると、消防法で規定された全ての危険物を取り扱うことができるようになります。
そのため、メーカーなどの製造現場で重宝される資格です。
メーカーの研究職、開発職を目指している学生は、在学中にとっておくとよいでしょう。
仕事を任せてもらえたり、社会人になって勉強する必要がなくなります。
実際に、開発職として働く筆者も、普段の仕事で知識が生かされる場面が多々あります。
学生のうちに取得しとくべき?
化学専攻の学生なら学生のうちに取得しよう!その理由
化学メーカー勤務なら入社後、資格が必要になる可能性が高いです。
社会人はやっぱり忙しくて、勉強時間の確保がかなり難しいので、
時間に余裕がある学生の間に取っておくのがオススメ。
学生って資格取れる?受験資格を確認しよう!
取得できます。ただし、甲種のみ受験資格があります。
「大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者」
に該当する必要があります。
化学専攻の学生であれば、ほとんどの方が受験資格をクリアできると思います。
詳しくは、消防試験研究センター公式HPより、ご確認ください。
実際会社でどのように活かされるか?知識使うか?
化学メーカーで、生産技術職、開発職、研究職として働くのであれば、
危険物取扱者の知識が必要になる場面があります。
- 保管できる危険物量は、研究室や倉庫の広さによって保管できる量が規定されている。購入可能(保管可能)な危険物量(指定数量)の計算を行う。
- 新しく製品を開発するために、新規の危険物を用いるのであれば、SDSを確認したり、保管量・保管場所を決めたり、場合によっては会社に購入許可をもらう必要がある。
試験の特徴
試験の特徴についてまとめています。
- マークシート形式(5択の択一問題)
- 試験問題数45問
- 試験時間2時間30分
単純計算で、1問に3分かけることができます。
めっっっちゃ時間に余裕があります。
「試験時間が足りなかった…」ということはありません。
さらに、試験開始から35分経過すると途中退出可能になります。
筆者が受験したときも、ほとんどの方が途中退出していました。
確実に正解するために、焦らず、ゆっくり丁寧に解きましょう!
試験科目
3科目(法令、化学、性質)がそれぞれ6割以上で合格。
①危険物に関する法令:15問
暗記が最も大変な科目です。消防法に出てくる細かい数字を覚える必要があります。
②物理学および化学:10問
高校生までの科学の知識で解ける問題ばかりです。化学専攻の学生であれば、特別勉強する必要はありません。
③危険物の性質およびその火災予防および消化の方法:20問
化学物質の色や比重などの詳細な情報を、正確に覚える必要があります。種類が多いので結構大変です。
合格率、合格基準点
上記3科目でそれぞれ60%以上の正答率で合格です。
合格率は32.1%(令和5年4月〜令和6年2月まで)でした。(消防試験研究センター公式HP)
難易度は高くないのですが、
①法令、③危険物の性質は、細かく覚える必要があるので、ちゃんと勉強していないと落ちます。
②は高校生までに習ったレベルの問題なので、大学まで進んでいる方であれば、力を入れて勉強する必要はないです。
試験日
各都道府県によりますが、1〜2ヶ月に一回の頻度で試験が開催されます。
各地域の様々な場所で開催され、アクセスが少し悪い場所が会場になっていることもありますので、事前に自宅からの交通アクセスを確認しておく必要があります。
えんどうまめ
当日は緊張している上に、知らない場所が会場だったので、
余計に焦りが出ていました。
どのぐらい勉強すればいい?
必要な勉強時間
勉強時間はおおよそ「70〜120時間」必要です。
暗記が多いので、個人差があります。
筆者の勉強時間は、
乙4種:約80時間(在学中)
甲種:約70時間(社会人)
でした。
会社員の勉強時間
時間に余裕のある学生の間に取っておくことをお勧めしますが、会社員になってから資格をとる方もいるのではないでしょうか、
私は、甲種試験を社会人になってから取得しました。
その時に、1ヶ月(70hr程度)ガチで勉強しました。
もともと乙4種を持っている状態だったので、うろ覚えからスタートしている分、少なくて済んでいます。
平日2hr程度+土日3〜4hr程度=70hr程度の勉強をしました。
危険物取扱者試験のための効率的な勉強方法
暗記が非常に多いため、以下のように勉強すると効率よく勉強できます。
- 参考書、問題集を1冊ずつにしぼる。
- 一冊にまとまっていれば問題なし。
- ペラペラっとめくってみて、図解や説明が読みやすいか?分かりやすいか?を確認する。図解・デザインが自分の好みである方が、飽きずに勉強を続けられる。
- 参考書を2周以上読む。
- 章ごとに問題を解く→間違えた部分を解き直す。
- 間違えた部分や、覚えにくいところを自分なりにまとめて、自分専用ノートを作る。
- 過去問をひたすら解く。
- 2周読んで問題を解いたら、自分の苦手な部分や、覚えにくいところが分かってくる。そこを重点的に繰り返し解く。
表にまとめたり、覚えにくい部分を紙にまとめることによって、
物質の性質や値の位置付けがハッキリするため、
試験本番中に「あの表の右下ぐらいに書いた内容だな…」と思い出すことができます。
資格を取るべきか迷うなら、とりあえず受験しよう!
時間に余裕のある学生の間にとっておくのが好ましいですが、
そうは言っても本当に必要になるかは、企業に就職してからでないとわかりません。
私の場合は、社会人になって乙4だけでなく甲種が必要だった…ということが判明したので、学生時代にさぼらず甲種を取っておけばよかった。と思っています。
こればっかりは、人によりますが、
化学メーカーは資格の知識を使う場面が多いので、知識をつけておいて損はないです。
資格を取ろうか迷うなら、とりあえず「甲種」を受験してみてはいかがでしょうか。